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2024年03月29日
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8です。

2013年06月18日
★華神8です。
(華神の詳細は6/8の記事を)

今日、蒸し暑いです。
レディーボーデンおいしいです。
★華神戯譚【霞の世の邂逅編8】
 
「人の言葉を話せるのか」
 当たり前のことを問われ、一瞬変な顔をしてしまった。でも、この人がなにを言いたかったのか、すぐに理解する。
 人の姿を真似た妖かなにかかも、と疑っていたんだ。
 この蒸槻という異世界、人が存在するのと同様に、神様も妖も魔物もたくさんいる。実際、私は神様に拾われた。他に、災いをもたらす穢主や荒神っていう恐ろしいモノも。
「悪しき気はないな。だが、妖でもないだろう?」
 男性の問いには返事をしなかった。ここで、特殊な力を持たない普通の人間だと正直に告げれば、以前の二の舞になるかもしれない。
「ただの娘にも見えぬ」
 どきっとした。私は思わず男性の顔を凝視した。
「天女だろうか?」
 生真面目にそう聞かれ、脱力しかけた。ごく普通の容姿の私を天女と間違えるとは、この人、かなり目が悪いとか……って、そうか、私の今の格好のせいか。確かに天女衣装に見える。滑らかな手触りの衣の襲。蝶のようにひらひらとした裾と袖。
 ぬまごえ様は衣装も装飾品もすごくいいものを揃えてくれる。私が娘になったことを喜び、デレデレ状態だ。必死に威厳を保とうとしているけれど、隠し切れていない。
 心優しい神様を思い出して、じわっときた。帰りたい。こんな危険な罠を仕掛ける人間なんて嫌い。
「いや、天女とも違うか? 神気をお持ちのようだが……どこぞの女神であられるか?」
 ああ、この人の困惑が、ここで正確にわかった。どう見ても普通の娘じゃないのになぜ人間の作った罠にかかっているんだろう——そう思っているんだ。神様系列の娘なら、こんな罠くらい自力で抜け出せるはずだって。
 

つづく
(※まだまだ警戒中。華神の知夏は最初に怖い目に遭ったため、神様以外には、すぐに懐きません)
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