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7です

2013年06月17日
★華神7です。
(華神の詳細は6/8の記事を)
★華神戯譚【霞の世の邂逅編7】
 
 少しでも男性から遠ざかりたくて、私は限界まで身を引いた。わずかな身じろぎで足に痛みが走り、息を詰まらせる。
「ああ、動いてはいけない。足の肉がちぎれるぞ」
 その人の警告に、血の気が引く。怖々と視線を合わせると、彼は困ったように微笑んだ。
 ——悪い人には見えない。でも、他人の本心なんてわからない。言葉が通じるからって、心まで通じるとも限らない。以前会った猟師の人だって最初は親切で優しそうだった。物陰に引きずり込まれるまでは。
 男性が私の足に手を伸ばす。私は大きく首を振り、もう無理だとわかっていてもさらに離れようともがいた。
「足首の様子を確かめるだけだ。罠を外せるようならば、外してやる」
「……平気ですから、わ、私のことは、放っておいてください」
 私が初めて言葉を発したことで、罠に視線を落としていた男性が顔を上げた。心のなかを見抜くように、静かな眼差しを向けてくる。それから、やっぱり困ったように小さく笑った。


つづく
(※まだまだ警戒中の知夏です)
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