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発売記念。

こんばんはー。

★恋と悪魔2の発売記念な感じで、短編です。
お読みいただける場合は、折り畳んでる記事をクリックください。
※2巻未読ですと、わからない内容だと思います(流れとしては、2巻直後といった感じです)
ほのぼのです。


★メールくださった方々、どうもありがとうございます。
恋と悪魔、花神へのご感想、とても嬉しいです!

・花神、知夏は自分の屋敷の神女とは仲良しです(屋敷ごとに神女の派閥があったり…)

・ウヘヘ、ありがとうございます。恋と悪魔、仕掛けるのが楽しいです。



★日常話。
まだキッチンマットが編み上がらないです。重くなってきた。
あと2枚、マットを編みたいんだけれども。

それにしても、何度見直ししても誤字や誤表現が見つかるのはどうしたことだ…
世の中の作家さんが一度は経験する(と思う…)苦悩に違いない

空前のケモブーム来たれ!
きっといつか、ザ・獣特集!とかry
【午後と指輪と聖爵たち・その1】

 よく晴れた午後のことだ。
 レジナは今、リシュル地区の娯楽通りに足を運んでいた。
 同行者が二人、いる。
 内心、感嘆せずにはいられぬ貴重な組み合わせだ。
 一人は鮮やかな橙色の髪を持つ青年貴族のヴィネト・カシギで、もう一人はなんと朔使すべての頂きに立つ少年総帥リウ・オルディス・リィン。この二人とともに、賑わう通りに並ぶ様々な露店を冷やかしているところだった。
 ——視力の悪いリウ様がわたしの手を握るのはわかるんだけど、どうして卿までも……?
 なぜか彼らに、左右の手を握られている状態だ。
 ——というより、そもそもわたし、複製本のためのインクを買いに出かけようと思っていたはず……。
 現在請け負っている娯楽本の複製のため、顔料などを揃えようと屋敷を出た直後のこと。
 ヴィネトとリウが突然現れ、驚くレジナをこの通りまで引っ張ってきたのだ。
「あの、お二人とお会いできたのは嬉しいんですけど、どうしてわたしをこの娯楽通りに連れてきたんですか?」
 装飾品を並べた露店の前で足をとめたとき、レジナは思いきって二人に尋ねた。もしかして、朔使の任務となにか関係があるのかもしれない。
 この質問に答えたのは、リウだった。
「女人が朔使に就任するのは珍しいことだ」
「はい」
「それでヴィネトが『せっかくの女性朔使じゃないか。男なら、就任の祝いとして贈り物でもすべきだ』と提案した。なるほど、そういうものかと思った」
「……えっ?」
「しかし、若い娘になにを贈るべきか、私は知らない。ならば、レジナを店に連れて行き、どういった物が欲しいのか直接選ばせたほうがいい」
 レジナは驚き、あくまで生真面目な顔をしているリウとヴィネトを見比べた。
 露店で販売されている耳飾りを楽しげに見ていたヴィネトが、ふとレジナに顔を向け、笑みを浮かべた。企みに満ちた、素敵な笑顔だ。
「かわいい女の子に装飾品のひとつも贈らぬ男なんて、無粋すぎるでしょう?」
「卿!」
 レジナは慌てた。素直な性格のリウは、このヴィネトの発言を真に受けて、様々な物品が並ぶ娯楽通りにレジナを連れてきたらしい。
「贈り物なんて、そんな……わたし、朔使にしていただけただけで本当に嬉しいです。お気持ちだけもらいますね」
「もう、お嬢さんてば、いじらしいことを言っちゃってー! お兄さんがなんでも買ってあげますよー。ほらほら、こんな耳飾りはどうですか? 我らが総帥殿もかなりの資産家ですのでね、いっそこの露店ごと買い占めましょうか」
「卿! リウ様を巻き込んじゃ駄目だよ! ……そういえば以前にも卿は、リウ様を娼館通りにお連れして双子神魔たちに殺されかけたって……」
 思わず目を半眼にして見据えると、ヴィネトが明るい笑い声を上げた。
「そうなんですよ、危うく死ぬところでした。本当、冗談のわからない奴らでね……って、お嬢さん、冷たい目で俺を見ないでくださいよ。今日の外出は総帥殿のためでもあるんですよ!」
「リウ様のため……?」
「私のため?」
 レジナとリウは同時に首を傾げた。ヴィネトが、きりっと表情を引き締め、もっともらしく深く頷く。
「総帥殿は出不精すぎるんですよ! 大方、あの双子神魔どもに外出をとめられているんでしょうが、実に健康に悪い! たまには外に出てしっかり日の光を浴びないとね、身体も感性も錆び付くってものです。親切な俺は総帥殿の健やかな魂を守るため、こうして外出の機会を設けているんですよ」
 なぜだろう、言っていることは立派なのに、どうもヴィネトの態度に怪しさを感じずにはいられない。
「だからほら、今日は我ら聖爵、神魔どもの目を気にせず、のびのびと買い物でもしましょうよ」
「あ、それで、アガルを連れて来ちゃだめって言ったの? リウ様も双子たちと一緒じゃないし…」
「そうですよ。あいつらは聖爵を好きすぎなんですよ。昼夜いちゃつくつもりですかっての。たまには留守番させましょう」
 レジナは微笑んだ。
 ——聖爵だけの午後かぁ。なんか、いいかも。
「ありがとう、卿。うん、こういう日、素敵だよね。お二人との外出も楽しい」
「いやー本当にお嬢さんはかわいいですよねえ。ほら総帥殿、女の子と時間を過ごすのって楽しいでしょう? 気持ちが浮き立ちません?」
「そうだな」
 リウがちらりとレジナを見て、大真面目に頷いた。なにやら気恥ずかしくなり、レジナは視線を泳がせた。
 ヴィネトが破顔し、拍手のように両手をぱちんと音を立てて合わせた。
「よし、夜は大人の歓楽街で遊ぶことに決定だな。色っぽい女に注いでもらう酒は格別うまい。……大丈夫、お嬢さんも楽しめるよう男娼がいる館を探しますのでね、まかせてくださいよ」
「……卿、感謝が台無しの発言だよ…」
「はいはーい、軽い冗談です。お嬢さん以外の女に関心を持ったりしませんから安心して」
「卿!」
「あ、お嬢さん。本日の記念として、揃いの指輪を買いましょうか! さあ総帥殿もですよ。……これなんてどうです? 二人とも、手を出してー」
 レジナの訴えをさらりとかわして、ヴィネトが露店の商品棚から、同じ型の、色違いの指輪を手に取った。
 木彫りの、玩具めいた他愛ない指輪だ。
 青をリウの指にはめ、赤をレジナの指にはめ、緑を自分の指にはめる。
「我ら聖爵の証し! なんてね」
 高級な装飾品に慣れているだろうに、ヴィネトのこういう朗らかで親しみやすいところに嬉しくなる。
「かわいい……」
 レジナは笑みをこぼした。レジナの小遣いでも余裕をもって購入できるような、安価な指輪だ。なのに、至上というほどに素晴らしく思える。
 幸せな気持ちで二人を見つめたときだ。
 リウがそっと指輪を外した。
 レジナは顔を曇らせた。
 ——リウ様、お揃いは嫌なのかな…?
「……すまないが、私がこの指輪を指に、はめておくのは難しい。私の神魔たちは、他者の贈り物を身につけることを、快く思わないから」
「あー、そうか、総帥殿の神魔たちは嫉妬のあまり泣きそうですもんねえ」
 ヴィネトの呆れを含んだ声に、リウが金色の髪を揺らし、こくりと頷いた。
「だが、これは喜んでいただくとする。それに、ヴィネトの気遣いにも感謝する。確かに、たまにはこうして出歩くのも悪くない。よい気晴らしとなった」
 リウが指輪を大事そうに握り、淡く微笑んだ。表情に乏しいリウが笑うのは、かなり珍しいことだ。
 ——リウ様、嬉しそう。よかった。
「……うーん、俺のバレクも拗ねそうだな。あいつ、気に食わないものはなんでも齧ってぼろぼろにしやがる」
 ヴィネトも複雑そうに自身の指輪を見つめた。
「卿の神魔も、そうなんだ?」
「ええ。神魔ってのは本当に聖爵愛が凄まじいですよ。あいつ、俺が飲み歩いて朝方、屋敷に戻るとですね、扉の前で寝ないで待ってるんですよ! おまえは浮気性の夫を待つ健気妻かと言いたくなりますね。それに夜中、俺の寝台に潜ってくるんですよねえ。まあ、あいつの毛並み、冬はあたたかいからいいんですが」
 ヴィネトがちょっと得意そうに言った。
「……アガルも! けもの時の毛並み、すごくあたたかいし手触りがいいよ!」
 なぜか対抗したくなったレジナだった。拳を握って力説してしまう。
 するとヴィネトが、「ふーん?」と眉を上げ、わずかに勝ち誇った顔をした。
「でもバレクのほうが気持ちいいですって。毛、量もたっぷりだし、くるくるしてますよー」
「アガルの毛は滑らかだもの! 蕩けそうな手触りです!」
「ツヤはバレクが上ですって」
 思わずヴィネトと熱く論争しかけたときだ。
 リウがぽつりと参戦した。
「いや、手触りなら私の神魔たちが獣型になったときのほうが……」
 レジナたちはここが往来であることも忘れ、子どものように張り合った。


end.
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