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こんばんは

2012年09月18日
こんばんは。

どうしても煮詰まってしまう時は、頭をすっきりさせるために、時間制限をして小ネタを書くに限ります。
短編にある「S/死神1095」の小ネタです。
(この小ネタは、短編を読んでいないと、よくわからないと思います)
真夜中の一場面。どうやら主人公は寂しかったらしい……という内容です。

佐倉死神編も書きたいなー。その場合は、二十歳くらいの設定にしようかな。黒スーツは踏襲させる。
しかしこれは女の子の登場人物が思い浮かばないな…、どうも男ばかりになってしまう。
味方ポジで考えなければいいのか。あるいは年上美女とか。でも味方はキワモノばかりになりそうだ。
書きたいものがたまっています。

ところで最近、クッキーが好きです。おいしいです。
クッキー本とかあるのかなと、探してみたら、たくさんある!見ているだけでも楽しいです。
初心者向けとか、買ってみようかな。

・メールくださった方々、ありがとうございました。
ご感想、嬉しく拝見しております。小説書いていてよかったなあと思います。
【壊れた1時の少年法】

 時刻は深夜、1時36分。
 二日ぶりに<えす>が、帰ってきた。ひとごろしの仕事を終えてだ。
 俺はこのとき、リビングのソファーで仰向けになり、なおかつ片足を背もたれの上に乗せて、携帯ゲームに勤しんでいた。警戒心皆無の家猫みたいにだらけまくっている俺を、無感動な目で一瞥し、<えす>はバスルームに去って行く。
 俺は気恥ずかしさと後ろめたさを同時に覚え、一度、姿勢よく座り直した。壁時計の秒針が一回転した頃、携帯ゲームをポケットに突っ込み、<えす>のあとを静かに追う。
 やつは、歩きながら服を廊下に脱ぎ捨てていったらしい。
 てん、てん、と順番に落ちている服が、『早く拾え』と俺に激しく自己主張していた。
 ベルト、黒シャツ、黒ズボン。靴下、下着。すべて拾い上げ、片腕に引っ掛けたとき、ふと気づく。ズボンのポケットに、なにか入っている。
 俺は探った。黒い柄の、小型の折り畳みナイフだった。鼻に近づけると、血の匂いがした、気がする。あてにはならない。
 俺はナイフを広げ、ためつすがめつした。切れ味はよさそうだった。人間の皮膚なんか、きれいにすっぱりと裂きそうだった。ナイフの銀は、冬の果ての空気を浚ってきたような<えす>の目を連想させる、ほのかな暗い輝きを持っていた。
 俺はしばし考えた末、自分のシャツを脱いだ。それからかわりに、<えす>の服を着る。少し長いので、腕まくりした。やっぱり血の匂いがしたように思えたが、さだかではない。
「俺は、生きたいのか、死にたいのか?」
 よくわからないが、死神の虜囚であることだけは確かなのだった。
「俺は、殺したいのか、殺されたいのか?」
 呟いた瞬間、<えす>のシャツに包まれた自分の身体が、ぞくりと、総毛立つのがわかった。
 俺はがりっと、刃に歯を立てた。食ってしまいたかった、俺の知らぬ誰かの命を奪った、死神の刃を。
 目をつむる。俺は魔物に変わってしまったのかもしれない。殺したいのか、殺されたいのか。
「——」
 なんの脈絡もなく、俺は、はっとした。
 バスルームから、水音が聞こえてこない。
 振り向くよりも早く、俺の口から刃が外され、取り上げられた。男の手が、目の端に映る。器用そうな、長い指。「ピアノを弾けそうな指だ」と馬鹿なことを思い、次に「殺されるんだ」と観念した。
 心臓を痺れさせるような恐怖が生まれた。俺が知るなかで、最も快い恐怖だった。
「ナイフで遊ぶな。これでも、早く帰ってきたつもりなんだ。そんなに腹を立てるな」
 呆れ声がした。ざらっと一度、後ろから頭を適当な手つきで撫でられた。
 俺はゆっくりと二十ほど数えたあと、恐る恐る振り向いた。途端、耳に届いた水音。とっくにやつは、バスルームに戻っていたらしい。
 薄汚れた床のタイルを叩くシャワーの水。その飛沫や、排水溝に吸い込まれる水の動きを脳裏に描き、深呼吸をする。
 俺の夜はひどく狭く、孤独だというのに、狂いたくなるほど満ち足りている。
 俺はバスルームに近づいた。扉の横の壁に背を預けて、膝を抱える。
 そして、ゲームを再開した。

・終
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