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こっそり更新

休止中といいつつ、七夕記念でちょっと更新してみたいと思います。
F(二部の30話目)です。休止前に途中まで書いてあったのを発見し、もそもそつけくわえて更新しました。

今、それぞれ長編の続きを書くために、サイトにアップしているもの全部を読み直してる途中なんですが、けっこうな量があることに気づきました。自分で書いたものを読むというのはかなり気恥ずかしいです。でも書きたい気分がわいてきたです。


★メールくださった方々、ありがとうございました。
キャラにハピバ言葉くださった方々、ありがとうございます。嬉しいです。




ご質問にこっそりプチレスです。

☆サザ王子は今後も響と絡みます。
イルファイはそんなに髪は長くないですが、もじゃってます。
花色日記、そういえばどこのファイルにおいたんだろう(探

☆更新は不定期です。ふいにがしがし書くかもしれず、ちょっと休むかもしれず、マイペース更新です。

☆検索サイトさんにという意味でしょうか? 現在こんなペースなので、どこにも登録する予定はありません。のんびりやっていけたらいいなと思っています。




七夕なので、ちらっと小話にも満たないようなプチネタをいくつか。
短いものですが、それでもいいよという方、よろしければ。
※七夕といいつつ内容はほぼ関係ない気がします。

【風の在処】……花術師。リスカとジャヴです。

 リスカがまだセフォーと出会う前の、ほんのささやかな出来事だ。

 塔の貴石。
 多くの魔術師達からそのように賞賛され、羨望と憧憬の的であった尊い人。
 抱く魔力は蒼天を映す神秘の湖面のごとく、瞬く碧の双眸は闇夜を彩る星の囀りのごとくと。
 リスカにとっても密かな憧れであったその人が今、目の前にいる。
 塔時代、いつも周囲にはかの人を慕う者たちが絶えず、希望と未来といった輝かしきものに満ちあふれ、陰のかけらも忍びよる余地などなかったはずなのに、今はただ一人、深く沈むような色の衣をまとい、リスカのそばで柔らかにそよぐ風の声を聴いている。
 静謐だけがある。
 静謐だけしかない。ここに。
 リスカは記憶の道へ踏み出す。彼の噂は少し耳にした。恩師の失脚。詳細は分からない。
恩師とともに都を離れた彼は、こうして時折、気紛れのようにリスカのもとを訪れる。とくになにをするというのでもなく、二人でいながらも彼はやはり遠くに視線も心もやり、孤独の中に佇んでいる。めまいを呼ぶような、うつくしい横顔をさらすだけだった。
 緊張する。塔時代、自分には手の届かぬ人だったのだからしかたない。まなざしの行くほうを、ともにたどれなくてもしかたない。
 それでも、今この人の時間に自分のみが触れていられるという罪深い優越感を抱いてしまう。
「——風の」
「……え?」
 自分の意識に囚われすぎたため、リスカは一拍、返答が遅れた。
「愚かなことよ。人は風の声を聴きたいと願うが、その在処、行方を見定めようとはせぬものだ」
 奇麗な碧の瞳は一度もリスカのほうを向かない。風ばかりを見つめる瞳だ。
「確かに——確かに、人は風と歩めぬものですが」
 リスカは風に弄ばれた自分の髪を軽くおさえ、口をひらいた。
「けれども伝え、もたらすものがある。木々が奏でる葉のさざめきもそのひとつ。なれば人はそれらを通して、風とともに生きているのでは、と——」
 リスカが慎重に言葉を紡いだ時、かの人が振り向いた。
 リスカは慌てて視線を逸らす。ようやくこちらの存在を目に映してくれたというのに、不甲斐ない所作だと自分でもあきれてしまう。
「少し、甘いが」
 柔らかな声が聞こえ、リスカはほんの一瞬だけ目線を上げた。びゅう、と通り抜けた風が小さくうずまき、衣をはためかせる。その音はまるで鳥のはばたきのようだった。青空にひるがえる力強い羽根の音。
「甘ったるさは、悪ではないね」
 塔の貴石と呼ばれた魔術師が穏やかに微笑んでいた。
 風をとどめることにリスカは成功したようだった。
  


【死神論】……短編のS/死神1095。アホネタです。

 <えす>が煙草を吸っている。
 俺はソファーの上で膝をかかえながら、真向かいに座っている<えす>の姿を暇つぶしといったていでぼんやり見ていた。
 視線だけで紫煙の行方を追う。天井に伸びていく煙をおっかけては<えす>の顔に目を戻す、といった意味のない動きをとる。痛いくらい視線を感じているだろうに<えす>はまったく無関心の小憎らしい態度だ。
 ふと、<えす>が半分ほどにまで縮んでいた煙草をテーブルの灰皿に押しつけ、ソファーから立ち上がった。用を足しにでもいくのだろう。
 俺は<えす>の背中がリビングルームの扉の向こうに消えたあと、灰皿に視線を戻した。
 ちゃんと消せておらず、まだ薄く白い煙を立ち上らせる煙草。
 ふいに、むずむずと吸いたくなった。しっかり火を消していかない<えす>が悪い。
 俺はそうっと手を伸ばし、ちょっと先端が潰れているものの吸うにはまだ問題のない煙草をつまんだ。
 なんとはなしに後ろめたさとわずかな高揚を意識しながらも、煙草を口に持っていく。それまで<えす>がくわえていたためか、フィルター部分は少し湿っていた。苦い紙の味がした。これが大人の味かと神妙に考え、気恥ずかしくなった。
 その時だった。俺ははっとした。
 消えたはずの気配をまた感知したからだ。
「あ」
<えす>。トイレはどうしたんだ。
 いつのまにか戻ってきていた<えす>が、俺のそばまで足をすすめ、迷いない仕草で煙草を奪い取る。そして灰皿に押し付け、完全に火を決してしまう。
「教育に悪い」
<えす>がそう言った。くりかえすが、<えす>がだ。
 って、おまえ…、殺し屋で何人もの命を奪っといてたぶん盗聴やら恫喝やら脅迫やらもお手の物で、なおかつ未成年の俺なんかもこうして監禁しちゃって、いや、もう俺は納得ずみでみずからここに繋がれているようなもんだけど……、でも法律と倫理と常識を最先端で無視し破りまくっているような悪党まっさかりの職業についている<えす>の口から、「教育に悪い」って…
「吸うな」
「……ご、ごめん、なさい…?」
 睨まれて、俺はびびりつつ謝罪した。語尾が多少上がっていたのはなにも不思議じゃないはずだ。



【ふたたびの喪失】……s&s。短い。シリアスかな。番外の「きらきら奇跡」の総司視点。

 ひどく優しい夢を見た。
 失ってはいけない夢のはずだった。
 優しくあたたかな夢であっただろうに、同時に呼気が乱れるほど苦しく切ないものである気がした。
 動悸がする。
 どんな夢だったのか、飛び起きた瞬間にはすでに失われてしまっている。
 なにを失ったのだろう。
 なにがてのひらからこぼれてしまったのだろう。
 引き裂かれそうななにか。思い出せないくせに、それが途方もないほど貴重なものであったと確信している。だからこそ痛悔の念が身を貫く。こらえるために、強く目を閉じた。
 時刻はまだ夜明けに遠く、濁った暗闇だけが室内を鬱と占める。見出せないものが多すぎた。
 けれどもすがるようにまぶたを開き、視線をめぐらす。
 カーテンが半開きになっている窓の外を見つめた。
 月もまた、悲嘆と苦悩を見せまいと、朧な雲の背に身を隠していた。物狂いにふさわしい夜だった。
「ああ、誕生日、祝ってやれなかった。おめでとうの一言さえも…」


【もっともたやすい殺し方】……恋愛事件。西田独白。短い。

 毎日、ほんと気ままな感じで水屋先輩からメールが届く。
 それもなにか用件を伝えるっていうんじゃなく、ぽつぽつと独り言的なもの。それも私に関するツブヤキだ。だから時間もばらばら。おかげでまったく気が抜けない。
『かっわいい西田さん』
『好き』
『好っきー』
『好っきーん』
『眠いよー眠いよー西田ちゃーん』
『今日の冴様、冷たかった…』
『でもそんな冴様に罵られたいと少しだけ思ってときめきましたすみません』
『歴史の授業居眠りしたんだけど、西田さんが耳元でやさしく「起きて愛しのリョウちゃん、もう朝だよ」と囁く夢でマジ起きした。なにこれ近い将来に正夢になるんですかそうですか』
『西田さんのためにチュールスカートはある……て、天使め…』
 こんな感じで、確認するたび赤面ものだ。恥ずかしくてやめてほしいのに、本人にはしっかり言えず、こうして毎日毎日メールがくるのを待ってしまう。
 私、この先——もしもこの人からメールが届かなくなる日がきた時、まともに息ができるだろうか?
   


【幻のような日々のなか】……s&s。まだ笹良がガルシアの海賊船にいる頃。

 今日も今日とて恒例の、ジェルドと仲良くヴィーの悪口お茶会。
 微笑ましいものではないか、ジェルドったらたっぷりとあることないことでっち上げ、陰口叩きまくってヴィーをこきおろしながらも、すっごく無邪気な笑顔を見せて「兄ちゃん大好き!」を暗に示しているのだ。まばゆい兄弟愛だな。
 そんなことを考え、好々爺っぽくうぬうぬとうなずきつつジェルドの話につきあっていたとき、ヴィー本人が通りかかった。
 ジェルドは本人の前でも気にせず楽しげにヴィーをネタにする。
 すると、ついに腹を立てたらしいヴィーから復讐の暴露。
「ジェルド、おまえ昔はよく、すぐに泣いていたよな。どこかのちびな冥華並みに。あれが怖いこれが怖いそれが怖いと俺から離れずに…」
 ぎゃあああとジェルドが叫んでヴィーに突進した。ヴィーは余裕でかわしたあと、勝者の冷酷無情な嘲笑を見せてジェルドを叩きつぶし、悠々と去っていく。
 な、なんなのだ。というかジェルド、小さな頃は怖がりで泣き虫だったのか。
「うっせえばかあほ言っていいことと悪いことがあんだろデマ言うなってのだいたいそれいつの話だよこの俺がそんな真似するわけねえだろ信じらんねえつうか冥華信じんなよ信じたらぶっ殺すもうなんなんだよヴィーあっち行けよ!」
 ノンブレス!
 ジェルド、すでに涙目だぞ。というかすでにヴィーは去っているではないか。
 うわああヴィーなんて嫌いだ嫌いだ兄弟の縁切ってやるからなとわめきながら、ジェルドが羞恥に耐えかねたらしくごろごろと甲板に転がった。
 うぬジェルド安心しなさい、子供の時の話なんだしそんな恥ずかしがることじゃないぞ。そもそも今も昔もお馬鹿でたいした差なんてないから。
 と聖母のごとく慈悲の心で慰めてあげたのに、ジェルドはその日ずっと、口をきいてくれなくなった。生意気だな。
 でも今度、ヴィーにくわしく話を聞いてみよう。

(おわり)
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