忍者ブログ

[PR]

2018年12月16日
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

深夜

2008年11月08日
寒くなってきました。
 
ご感想メールありがとうございます。嬉しく読ませていただいてます。

 
・プチレスです。響は学校のある時は、一応自宅から通っていました。でも夏休みなど長期の休みの時は、三春のところに逃げ込んでました。響の家族設定、いつか本編でちらりと触れようかなと思っていますが、もしかしたら書かずに終わるかもしれません(F小説量がボリューム大になってきたのでカットする場面が増加中…)
 
・プチレスです。琥珀がソルトのように意思疎通が可能になるか、これは今後の展開で決めようかと思っています(どの場面をカットするかにより決まりそうな気配)。
オーリーン&シルヴァイの神様ズとの再会については…(ごにょごにょと濁しつつ)
 
・プチレスです。花術師、砂の王については、章ごとに割合細かくあらすじを作っています。
s&sは全体の要となる場面を箇条書き、という感じに作ってます。終わり方は数パターンあるんですが、書いていく間にどのパターンを選ぶか決めようと思っています(これも全体のボリュームと相談しつつ…)。
Fに関しましては、作ってません。脳内妄想一直線ですが、結末は決めてます。
 
・誤字報告くださった方々、ありがとうございました。遅くなりましたが、修正しました。大変感謝です。
 
・プチレスです。そういえば、リュイ以外は響の年齢を確かには知らないような……、今の時点では、ガレ国の人々は響のことをやはりどこかで普通の娘とは捉えていないところがあるので、正確な年齢を気にしていない状況のようです。
 
・プチレスです。すみません、今のところ登場人物紹介の方に手が回らず…。あらすじは、各小説TOPページに短い文を乗っけております。(基本、どの小説も、主人公が未熟な(危)傾向にある気がします…)
 
 
 
 
 
・ハロウィン用小話をすっかりアップした気になって忘れていた…
でも内容はまったくハロウィンではありません。
以下、小話です。FとLady.です。軽い内容なので、どれも深い意味はありませんが、それでもよろしければ〜。
【たまには少し労ってやらなくもない】……Fの響と大魔のベリトです(なぜベリト…)

 今はちょうど小休止中だ。
 皆、短い時間の中で少しでも疲れを癒そうと、おもいおもいの方法で休んでいる。
 休憩中の時は大抵、騎士の誰かが交代で見張りに立つんだけれど、今回はその役目を私が引き受けた。私は移動中、よくエルの背に乗せてもらっているから、みんなよりも疲労が少ない。
 そんなわけで、休憩場所からちょっと離れた辺りをぐるっと偵察しに行くことにした。エルがぶんぶんと尾を振ってついてこようとしたけれど、留守番をお願いした。エルだってちゃんと休まなきゃね。
 心配そうに見送るリュイや率帝たちに軽く手を振り、私は皆から離れて周囲の様子を伺った。
 この一帯は地に起伏が多く、また立石の類いも多いため、視野をよく遮られてしまうので、より警戒が必要だった。ふいに魔物が岩影から飛び出してくるかもしれない。
 私は視線を巡らせながらも、立石のあいだを静かに歩んだ。
 今のところ、怪しい気配はない。うーん、ちょっと皆から離れすぎたかも。振り向いて皆が休憩している方向を見つめたけれど、大地の起伏と岩石群に阻まれ、様子はうかがえなかった。
 私は岩の一つによいしょと腰掛けた。無意識のうちに、ふうっと深いため息がもれる。
 色んな意味で遠くに来てしまったなあ、とぼんやり感じたんだ。
 なんだか私ったら、どこにいても曖昧な居心地の悪さを感じている気がする。前の世界でもぎこちなかったし、今も臆病で躊躇ばかりしているし。
 そんな情けないことをつらつらと考えながら遠方の景色をただ眺めた。
 風はないのに、やけに肌寒い。
 一瞬、身がぶるりと震えた。その時だった。
 ばさりという感じで、いきなり目の前に布が広がった。大きくて滑らかな青い布だ。
 ぎょっと硬直する私の身が、その青い布に包まれた。
「えっ」
 ソルトを握って立ち上がろうとした瞬間、その青い布がきつくはない程度にしゅるりと私の身にはりついた。
「……ベリト」
 この青い色は、ベリトだ。
「…………えっと…?」
 な、なんでいきなり私、拘束されているんだろうと驚いた。
 悩んでいたら、青い布の一カ所に、ぷくぷくと泡……目が浮き出てきた。こっちを見つめながら、ぱちりと瞬く。うう、ベリト、色んな場所に目を動かせるんだ。
 それはともかく、この状況は一体なんだろう、とベリトの目を見返した。
 ふと気づく。
 もしかして、私が寒いと思ったから、毛布代わりに身体を包んでくれたとか?
 とくに攻撃してくるわけでもない。ただゆるりと私の身を包んでいるだけだ。
 理由がわかり、私は小さく笑みをこぼしてしまった。
「ありがとね、ベリト」
 正直をいえば、魔物という属性が原因なのか、抱きかかえられてもあたたかくはない。それでも気持ち的にはあたたかい。
 身を包んでくれる青い影というかベリトの身体は、高級な絹のようだった。
 ベリトって、なんか可愛いなあ。
 そう思ってしばらくのあいだ、幸せな気持ちで笑い続けた。
 
 

【実は嬉しい】……響とソルトです。

 いつもいつも乱暴な扱いをしているから、たまにはきちんとソルトの手入れをしてあげたい。
 だけど、素人戦士な私には、剣の手入れ方がわからない。そこで騎士の誰かに手伝ってもらおうかな、と考えたんだけれど、ソルトが、他のやつに触らせたら呪ってやる、なんて物騒な脅しをかけてきたので断念。
 ううん困ったなあ。ソルトだって手入れしてもらった方がいいと思うのに、頑固だなあ。
「ね、ソルト」
 我が儘言わないで、と皆に聞こえないようぼそぼそ頼み込んでも、ツンとした返事だけしかもらえない。
 私はしばらく悩み、不意に閃いた。
「ソルトって、お酒好き?」
 微妙な沈黙が広がる。なんかそわそわした雰囲気というか。あ、もしかしてかなりお酒好きだったのかもしれない。
「そっか」
 私は荷物の中からお酒の入った革袋を取り出し、ソルトの刀身にそうっとお酒をかけた。普通の剣にこんなことしちゃいけないんだろうけれど、神様の剣であるソルトが錆びるとは思えない。
「おいし?」
 刀身にお酒をかけたところで、味なんてわからないかもしれない。そんでもって、手入れとは全然違うだろう。
 それでも、いつも頑張ってくれるお礼というかね。
 返事はなかったけれど、なんとなく、お酒の雫に濡れたソルトはきらきらとして、嬉しそうに見えた。
 

 
【きみがだいすき】……響とエル(と男三人)

「エル」
 これまた休憩時。特に用はないんだけれど、近くで小石を転がして一人遊びしていたエルに声をかけた。
 するとエルはぴんと耳を立て、ぶんぶん尻尾を振って私の方に近づいてきた。ご機嫌な様子で、地面に座っている私の回りを一周し、喜びを示すように一度軽くジャンプして、ぐりぐりと頭を押し付けてくる。うん、エルの体格だと、実際にはぐりぐりっていうより、どすどすとか、ごつごつとかの表現の方があっているし、私の身体思いっきり仰け反ってしまっているんだけれど、やっぱり可愛い。
「エルったらー。もー、私潰れちゃうよ〜」
「きゅーん」
 笑いながら、エルの鼻先を撫でる。するとエルは甘えるように喉を鳴らし、更に頭を押し付けてきた。潰れる、エル、私潰れる。あああ、エルの毛が目に入った。ちょっと窒息しそうっていうか、圧死しそう。
 仕方ないなあと思いつつも、エルの喉を丁寧に撫でた。エルの声が時々だけど聞こえる。ただひたすら『ひびきー』ってたどたどしく私の名前を呼んでいるんだけれどね。他の言葉はまだ聞こえない。でも、すっごい喜んでいる感じで、ひびき、って呼んでくれる。
「きゅん」
「エルは可愛いねー」
「きゅううううん」
「あはは、エル照れてるー」
「きゅうーん」
 エルは恥じらいを示すように毛を膨らませ、尻尾でばしばし私の太腿を叩いた。ちょっと鞭みたいな勢いで痛いけれど、幸せな気持ちになった。
 
 
 ひとめをはばからず戯れる響とエルを見ていたイルファイが、同じく複雑な表情で眺めているリュイと率帝に顔を向けた。
「唸っている、恫喝しているぞ、あの獣…」
「……いえ、あれは恫喝ではないと思いますが………たぶん」
「あの…差し出がましいようですが、響様をお助けしなくてもいいのですか。……襲われているのでは…」
 と率帝が恐る恐る告げ、エルに押し潰されて見えなくなっている響を心配した。
「食われているな」
 真顔で断言したイルファイに、率帝が青ざめた。リュイが慌てた様子で口を挟む。
「…………いえ、あれはただ、響に甘えているだけだと思います。………たぶん…」
 なんともいえない二人の視線を浴びたリュイは、そっと顔を逸らした。
 言葉をなくす三人の間を、風が通り抜けた。





【罪というものは】……倉庫にある「Lady.」の千春と北原刑事で、実はシリアス(むしろなぜLady.で小ネタを…。※軽く変態な感じもありますので、苦手な方はご注意ください)

 鼻の下がデロデロに伸びるくらい可愛い短大生と遊んで、深夜、というか最早明け方に気分よく家路をたどれば、そこに待っていたのは地獄の女装いや序奏、悪夢へのイントロダクションに違いない変態刑事のプチ酔いどれな姿だった。
 つうかアンタ! 俺の部屋に無断侵入して、なんで隠していたとっておきの酒を勝手にかっくらっているんだ、と千春は嘆いた。部屋の鍵はちゃんとかけて出掛けたはずなのに、いいのか警察の人間が犯罪まがいの行為に及んで。
「おいおいおい北原刑事さんよ! あんた何やっているんですか、人の部屋で」
 リビングのソファーにだらけた姿で座り湯飲みでウィスキーを飲んでいる北原に、怒濤のごとく文句を言いながら千春は近づいた。
 いつもはぱりっとしたスーツ姿の北原だが、今日はなんとなく雰囲気がおかしい。いや、いつも変態全開なので、これ以上おかしいというのもなんだが。高そうなスーツの上は足元に落ちていて、ネクタイもテーブルに置かれている。着込んでいる薄いグリーンのシャツは、どこかくたりとくたびれた感が漂っていた。いかにも丸一日着てました、という雰囲気だ。つうことは、おそらく仕事明けで、その帰りにここへ直行したのか。なんで俺んちに侵入しているんだろう、と千春は不思議に思って首を傾げた。
「ど、どうしたんすか」
 思わず恐る恐る床に正座して北原を見上げる千春だった。だって相手は天下の刑事様なんだよ! 最近の俺、悪さしてないよな? 犯罪おかしてないよな、ちょっと可愛い子と何人かお付き合いしただけで…! と内心で不要な言い訳を繰り返してしまう。
「ああ、東條さん、お帰りなさい。あなたも飲みますか、それとも私とベッドに直行しますか」
「ごく普通に挨拶すんなよ、ってかそれ、俺の酒だから。というよりなんで刑事さんとベッドに直行すんだよ」
 やっぱり変態だ! こんな涼しい顔してるくせに!
「ちょっと疲れてましてね。そんなわけで奉仕してもらおうかと」
「オイオイオイオイ本気で待て。ズボン下げようとすんな!」
 一体俺にどんな奉仕をさせる気なんだよ! 
「いや、だってそんな、イイ位置に座り込んでいるから」
「俺がソープのお姉ちゃんに見えますか」
「見えてきました。いえ、見させてください」
「ヤメロッ!」
 ブルブル震えながらツッコミを入れると、北原は微苦笑して一息に湯飲みのウィスキーを空にした。
「うわっあんた一人でこんなに飲んで!」
「飲みたいときもあるんですよ」
 やっぱり疲れたような微苦笑を返された。
 なんかあったらしい。千春は困り、溜息をついたあと、ぼりぼりと頭をかいた。
「あー、もーいいや。ボトル空けるまで付き合いますよ、もう」
 俺って人がいいよな優しいよな。女の子たちもきっとメロメロになるな。などと間違った方向に自己陶酔しつつ、そんな自分に照れて髪をかき上げつつ、更にはカメラ目線も意識しつつ千春は北原の隣に座った。
「飲んでくれるんですか」
「…そりゃ、酒は好きですし…?…ってちょっと刑事さん」
「好きなだけ飲んでください、というか……別のもの飲んでくれませんか是非」
「ヤ・メ・ロッ! ズボン下げようとすんな、俺に何飲ませようと企んでるんだ!」
 ってこのおぞましいやりとり、さっきもしたじゃねえか! あんたの下品な変態思考が怖いよ!
「マジでどうしたんですか。なんかあったの?」
 千春は気を取り直して、真面目に問い掛けてみた。ここへ来たってことは俺がらみの問題でもあったのだろうか。
「手紙、持ってきたんですよ」
「手紙?」
 と北原が差し出した手紙を受け取り、千春は顔を引きつらせた。妙にファンシーなピンク色の封筒に書かれた差出人の名前は「あなたのNICEファントム・イケメン坂本王子様」となっている。ちょ、待てや、なんで百年囚人様からの手紙を北原刑事が持ってくるんだ。つかそういう前に、色々と突っ込みてえよ! なんだこのド変態臭溢れる差出人名は。しかもなんか甘い匂いが封筒からほのかに漂ってくる。とんこつ以上のこってりした怒りが湧くぞ、この乙女なフレグランスレター…!
 見たくないマジ見たくない、と思わずテーブル上のライターに手を伸ばして燃やしちまおうかと千春はどす黒い誘惑に襲われた。だがしかし、見なければ見ないで凄まじい恐怖と不安と悪寒に苛まれそうだ。なにせ差出人はNICEファントムとか自分で名乗っちゃう変態である。お前、ファントムって英語で書けなかったんだろ、と激しく罵らずにはいられない。
 千春はごくりと生唾を飲み込んだあと、覚悟を決めて手紙を開けた。
 
『キャッ、チハルちゃーん、OGENKIですか! 僕です、あなたのチョー素敵な恋人の坂本で〜す!(*´д`*) あーん次郎、照れちゃう〜! 僕はこの手紙を那智君やその他監獄ボーイズに見守られながら、そして、いなせな筋肉YAROUにヤラレちゃってる前田君を横目で見つめながら、愛をこめて書いてまーす!゚・。・(●ノ∀`●)σ・。・゚
あのね、僕はいつでもチハルちゃんのことを考えています(=´Д`=)ゞ、寝ても覚めても入浴中も自慰の時も、愛と白い液体が色々なところからダダ漏れですよ。テヘッ(*´艸`*)
今日の僕の一日は、新作エロスの本を読みながら那智君と碁をして、ちょっと運動もして(あっ、イヤラシー運動じゃないですよ! やだチハルちゃん、そんなイケナイ想像しちゃ駄目ダゾッ☆)、時々ヤバイものを監獄ボーイズたちに売って、チハルちゃんへのポエムを書いて、木彫りの熊を作って、やんちゃなボーイズたちに闘争させるべく裏から卑怯な手を使って、彼らが血に塗れて苦しむ壮絶な姿を完璧傍観者の立場から冷酷に眺め、時に心底から侮蔑してたくさん楽しみました!ヾ(@^▽^@)ノ
チハルちゃんは今日一日、何をしていましたか?
お風呂場で裸体を濡らしつつソープの泡をたっぷり立てながら身体を洗いましたか、チュッパチャプスを食べましたか(///(エ)///) 、メロンパンはお菓子に入りますか( ̄∀ ̄*)、チャイナとふりふりエプロンどっちが好きですか、イルカはいるか?なーんていう駄洒落を言いましたか(僕は今日だけで三回言いました)、下着は何色ですか(僕はスケスケの赤いレースが大好きです)、ブーツのヒールで誰かを踏みつけましたか? チハルちゃんは今何をしているんだろうと想像するだけで、僕は幸福の中へイケそう…いえ、行けそうです。
きっと君は知らなかっただろうし、気づいてもいなかっただろうけれど、僕は、僕は、ぼ、僕は、君のことを愛してます…!(キャーッ、言っちゃったぁん!はずかちー)(*ノ▽ノ)
僕の夢は、君とペアルックでハミングしながら夜の南青山あたりをデートすることです。池のカモを見つめたり、道行く蟻の群れを観察したり、たむろしている鳩の数を地味に数えたいです。そんで渋谷にいるいかにもヤバそうな兄ちゃんを「アタァーッ!」と叫びながら二段蹴りし、ついでに罵倒の限りを尽くして、本気で殺されそうな恐怖の中、君と二人で逃避行したいです!(●´Д`●)
ああ早く君に会いたいな! 好きな時に好きなだけ君とデートしたいです。あっでもそうなったら、僕はきっと四六時中、君とデートしていたいなと思いそうです(わー僕って健気さん!)(*´∀`*)
あっ、今、筋肉YAROUの二人目にヤラレちゃってる前田君が、体位を変えられてすんごいことに………』
 
 ここまで目を通した千春は、明け方であるということも忘れて、「うらあああぁッ…!!」と怒りの絶叫を轟かせ、手紙をぺしっと捨てて、足で踏みにじった。ちなみに未読のものがあと五枚も残っている。
 なんだこれは!
 なんだこれは!!
 俺を呪いたいのか、坂本は。ところどころに入る顔文字と自分ツッコミがすげえ苛立ちを誘う…!
 俺の人生の中で、つうかこの先の人生の中においても間違いなくダントツで気色悪く、濃厚に殺意を覚える手紙じゃねえか、と千春はぜいぜい息を荒げながら胸中で叫んだ。
「刑事さん、アンタこんな静かな明け方から、なんちゅー濃密なもんを俺に見せるんですか…!」
 と千春は訴えずにいられなかった。
 しかし肝心の北原は、千春とは別の意味ですげえシリアスな空気を匂わせ、なおかつものうげな表情までしていた。
「け、刑事さん?」
「すみませんね、東條さん」
「え…」
 謝られると、ついしたてに出てしまう千春である。
「いや、そんな」
「私、今日、色々と思い悩むことがありまして。それで、気分転換のために東條さんの単純な思考とお馬鹿な感性に触れたくて、あえてこの手紙を今持ってきたんですが」
「刺すぞ、お前」
「でも駄目ですねえ」
 眉間に皺を寄せる千春に、北原は少し寂しげな微笑を向けた。なんだかいつも変態な奴が弱々しくシリアスだと、どきっとしてしまう。これがいわゆるギャップの罠というものか。
「今日、一つの事件が解決したんですよ」
「はあ」
「ある妻が自宅で死んでいました。捜査当初は他殺と判断していましたが、結果は妻の自殺でした。その女性は他殺を装って自殺したんですよ」
 ななななんてすんごいシリアスな話をするんだ。ギャップの罠が深すぎる、と千春は戦いた。
「なぜそんな真似をしたかといいますと、旦那の浮気相手である女性に罪をきせたかったようで」
「うわ……」
「たとえ自殺だとバレてもですね、旦那と愛人に罪の意識というものを与えたかったんだろうと思います。ところが」
 やるせないですよねえ、と北原は笑った。
「報告した後、旦那と女性は笑い合ってましたよ」
 それは、妻の望んだ展開ではない気がする。涙を流して反省するとか、そういうのを望んでいたのではないか。
 眉間に皺を寄せた千春に、北原は底抜けに明るく見えるような笑顔を作った。
「あとで気づいたんですが——その愛人ね、奥さんが持っていたワンピースを着ていました」
「…はい?」
「奥さんは、とあるブランドの服しか購入していなかったんですよね。これ、捜査中で分かったことなんですけれどね」
 北原は片手でぺろりと自分の顔を撫でた。
「奥さんのもの、根こそぎ奪ったことになりますねえ、その愛人。旦那も居場所も服も」
 
 千春は言葉を失い、少し寒気を覚えた。
 他殺と見せかけて自殺した奥さんと、服まで奪った愛人と。
 どっちの妄念が勝ったんだろう、と考えた。
 夫はそれで、幸せなんだろうか?
「さて、長居をしてしまいました。私は帰ります」
 茫然とする千春をよそに、北原は言いたいことだけ言って満足したのか、身軽に立ち上がり、去っていった。
 残された千春は情けない顔でしばらく考え込んだあと、ウィスキーの残りをがぶ飲みした。
 そんで、ナイスファントム様からの手紙の残りに目を通し、突っ込んだり青ざめたり怒気を放ちつつ、暗い考えを吹き飛ばした。
●END●
 
…顔文字、難しい。明らかに使い方を間違っている気がしなくもないです。使い方がよくわからない…
そしてFの小ネタは人外ばっかりに(謎)
PR
« 更新 | HOME | 更新 »